塩酸

中学生になると、必ず理科の授業で化学反応についての勉強をします。ある物質が他の物質に変化する様子を化学変化と言い、それを実際に観察する目的で実験をします。この実験で必ず、しかも頻繁に使われる物質があります。塩酸です。ここではその塩酸について学生向けの考察をしてみましょう。

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塩酸の基本的性質は?

塩酸は、塩化水素(HCl:水素と塩素の化合物)が溶けている液体のことを言います。塩化水素は気体ですが、非常に水に溶けやすいです。従って、塩酸の性質は塩化水素の性質とほぼ一緒です。塩酸は比重が1以上であり、水よりも若干重いです。塩酸は理科室の棚とかにある茶色のビンの中にしまってあります。塩酸は強酸なので、非常に危険な物質であり、取り扱いには注意を必要とします。

塩化水素って何?

塩化水素は、無色透明の気体ですが、すっぱい臭いがします。塩化水素は人体にとって危険な気体です。従って、塩化水素が溶けている塩酸が危険なのは自明ですね。

塩酸・塩化水素はどう危険なの?

塩酸は、皮膚に触れたりすると、その皮膚を溶かしてしまいます。わかりやすく言うと、やけどしたみたいな状態になります。この性質を持った塩酸が体の中に入ったり、塩化水素を吸い込んだりしたらどうなるかは想像がつきますよね。

そんな危ない塩酸を何で中学生に使わせるんだ?

それは、化学反応の実験をするのに、塩酸がものすごく都合がいいからです。反応性が高いので、実験には使いやすいんですよ。大体、場合によっては塩酸よりもっと危険な硫酸を使ったりもします。それに、危険な薬品の取り扱いをするのも勉強の一つですし。学校の実験で使う塩酸は、濃度が低いもの(溶けている塩化水素の量が少ないもの)を使っているので、ある程度は大丈夫です。と言っても、素手で触っていいものではないですが。

なぜ塩酸は茶色いビンにしまってあるの?

化学薬品は、物によっては光によって変化してしまいます。硝酸という物質は、光に当てると分解して別の物質になってしまいます。塩酸の場合、光に当て続けていると色が黄色に変化することがよくあります。多分それが何となくいやなので、光に当たらないよう茶色のビンに入れているのでしょう。

ところで強酸って?

難しい言い方をすれば、ph値が低い・水素イオンの量が多いってことなのですが、少し言い換えると、すっぱさがきついって感じです。すっぱければすっぱいほど、強酸であるということが言えます。

塩酸を使った実験ってどういうことやるの?

塩酸は実にいろいろな実験の材料として使われますが、2つ例を見てみましょう。

気体発生実験

まず、一番初めにやるのは、塩酸の中に金属を入れる実験でしょう。試験管の中の塩酸に鉄とか亜鉛とかアルミニウムとかを入れると、泡=気体が発生します。で、その気体に火をつけてみると、「ポン」と音がして、試験管の壁に水滴がつきます。

Znは亜鉛のことです。上のような式のことを、化学反応式と言います。中学校で習いますね。H2は水素です。水素は燃えると酸素Oと化合します。

H2Oは水です。これで、「塩酸に金属を入れると気体が発生するが、それに火をつけると水になったから、その気体は水素である」というのを勉強するわけです。

中和実験

塩酸は酸性ですが、それにアルカリ性のものを混ぜると中性になるということを実験します。これを中和といいます。この実験で使うものは、塩酸と水酸化ナトリウムです。ちなみに、水酸化ナトリウムは塩酸と同じくらい危険な物質ですから取り扱いには注意が必要です。

NaClは塩化ナトリウムで、これは言ってしまえば塩のことです。学校の実験では、全く同じ濃度の塩酸と水酸化ナトリウムを同量混ぜ合わせて、混ぜた液体を熱して水分を蒸発させ、残った物質をなめてしょっぱい、とかやるわけです。

塩酸はどうやって作るの?

塩酸の作り方は2通りあって、直接塩酸を作る方法と、フッ素コートに使うテフロンなどを作るときにその副産物として作られる場合とがあります。直接作る場合は、水素と塩素を燃焼させて塩化水素を発生させます。現在はほとんど副産物としての塩酸を使用しています。

実験で使う以外に塩酸は何に使うの?

いろいろな使い道があります。アルカリ性の物質を中和させるのに塩酸を使います。今は環境問題でうるさいですから、その辺においそれと捨てることはできませんからね。あと、金属を溶かすときにも使います。ただし、銅や銀や金は塩酸では溶けないので、その場合は濃塩酸と濃硝酸をまぜた王水というものを使います。我々の生活に密着したものでは、薬の成分として塩酸化合物がよく含まれていますね。塩酸ジフェンヒドラミン(ハンドクリームや皮膚炎治療用の軟膏など)はその代表的なものです。ただし、この場合、摂り過ぎると副作用が出て困りますから、服用の際には注意しなければなりません。

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