森林の働きについて

森林の働き

森林は木材などの林産物を私達に供給すると共に、水の源、自然さいがいの防止をはじめ自然環境の保全・形成、保養の場など、私達の生活に欠かすことのできない多くの役割を果たしています。私達の暮らしには、この森林の働きによって守られています。近年の地球温暖化等の環境問題において、二酸化炭素を吸収・固定・削減する森林の働きが国際的にも重要視されています。森林の利用を進め、若い森林を育っていくことが私達の暮らしだけではなく、地球環境を守る上でも大切なのです。


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森林の持ついろいろな働き

森林には、水をたくわえたり、防災に役立つ他にいろいろな働きがあります。植物は二酸化炭素を吸って、固定化し、酸素を出しているので、森林には大気をきれいにする働きがあります。美しい自然環境を保ち野生生物の生息の場となり、私たちに憩いの場を提供してくれるほか、防風、防砂、なだれ防止、坊潮といったいろいろな働きをしているのです。


日本の面積の4倍の森林が消失

日本は国土の3分の2が森林です。そこに住む私達は森林があるのを当然のように思いがちです。しかし、地球上で森林が育つ土地は陸地全体の3分の1にすぎないのです。しかも、最近の国連による発表によると、1981年から90年までの10年間で中南米を中心に、1億5千万ヘクタール(日本の国土の約4倍にあたる)もの熱帯林が消失したという報告があげられています。


川の水量を調節する働き

日本は急な山が多いので降った雨は、短期間で谷川に流れやすい構造になっています。しかし、よい自然環境が残り、よい森林がある場合は、山は雨水をゆっくりと森林にたくわえることができるのです。森林に降る雨は、木の葉や枝に遮られ、そこから蒸発するか、いったん地中に入り、木の根から吸収されて葉の気孔から蒸発して、大気中に戻っていきます。この働きを、初期損失量といいます。浸透水の残りは地下の深いところへ透下していき帯水層へとたくわえられて、地下水となって徐々に流出していきます。谷川に行き着くまでには、大きな時間差が出てきます。このため森林があると無いのでは、流れ出す雨水の量は大きく調整されます。雨が降ったとき、川の水量がどのように変化していくのか、森林がある領域と、森林が無い領域で比べてみると、森林が無い領域では川の水量が一気に増加するので洪水の恐れがあるのです。年間で2000mmの降水量がある場合、直接流出量(洪水流量)は、森林域では300mm、荒廃領域では600mmと計算され、その差がはっきりと明確な数字で現れているのです。


森林の構造

森林は私たちを含め、たくさんの生物の命を支えています。目に見えない微生物から大型動物まですべての生物がお互いに関りながら一つの生態系を形づくっているのです。また、こうして成り立っている生態系は、生物のすみかという役割だけではなく、まるで森林全体が一つの生き物のようにさまざまな働きを持っているのです。


自然の再生工場

森林は地球の呼吸を一手に引き受けて空気をきれいにしてくれます。森林の木々は光合成による働きにより二酸化炭素と水から酸素と養分を作り出します。まだ森林が存在しなかった40億年前の原始の地球には、大気中の98%もの二酸化炭素が含まれていたといいます。現在は0.03〜0.05という二酸化炭素量です。豊かな森林は二酸化炭素を酸素に変えてくれる自然の再生工場なのです。


地球の水を管理する

森林は、雨水を蓄え川に流しています。樹木は、根や葉、幹にとてもたくさんの水が蓄えられていて少しずつ蒸発させています。蒸発した水分はやがて雨雲となり、私たちに恵みの雨をもたらします。また樹木は森林に降り注いだ雨を地下にしっかりと蓄えます。川は山から流れるのではなく、実は森林から流れ出している、といってもいいのです。


森林は養分含んだ土壌を作り出す

森林は養分をたっぷりと含んだ土を作り出します。ここでいう土とは、命を養う栄養分をたっぷりと含んだ物の事です。森林に生きる生物のすべての命が土へ返ることや、地面に朽ちて倒れた木々や葉を微生物が豊かな栄養分に変えてくれるのです。したがって、森林全体が、そこに暮らすものによってリサイクルされているのです。現在地球上の土は、半径6000万キロの表面にわずか約1メートル堆積(たいせき)しているにしか過ぎません。まして、1cmの土を積もらせるのに森林は100年以上という長い年月を掛けて作り出します。このようにとても貴重である栄養分を含んだ土は、川の流れによって少しずつ下流域に運ばれ、平地に蓄積し農作物を育てる豊かな土壌となる働きをしています。つまり、川をコンクリートで固めてしまうと、土は途中にたまることが出来ずに下流または海へ流されてしまうのです。


大気保全機能

森林は、光合成により地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収し炭素を貯蔵すると共に、酸素を供給しています。森林の1年間の成長量から伐採量を差し引いた準増加量から二酸化炭素吸収量を計算すると、日本の森林は年間1億トンの二酸化炭素を吸収します。これは国民の2年間分の吸収量に相当します。


生態系を保つ森林の働き

森の中には、多くの木や草などが生え、葉を茂らせ、花を咲かせ、命である実をみのらせます。これらは昆虫や鳥や、動物類の食べ物になります。このようにたくさんの動植物たちのすみかとなるのも、森林の大切な働きの一つです。森林の中だけではなく、川や湖に住む生き物も、木から落ちる彼はや虫、あるいは森林からしみだす水の中の栄養素を食べて生きています。最近では川に流れ出す森林の栄養分が海へ多くの栄養素を運ぶ働きがあるということが判り、川の上流に植樹をする動きもみられます。このように森林は、自然界全体の生態系を守っています。


どうすれば森林を守ることが出来るのでしょうか

樹木を伐採することをやめれば、残された森林を失わずにすむかもしれません。しかし、森林からの豊かな恩恵は、私たちにとってかけがえの無い恵みであり財産です。先進国と発展途上国による資源争奪競争が基本となる私たちの経済的なルールで、森林を痛めつけるのではなく、最小限と調和を基本とする自然界のルールを学ばなければなりません。森林は、樹木の生長量以上に伐採することが無ければ、自然の力で再生することが出来ます。しかし、樹木を100本伐採したのならば、1000本植えなければ森を再生することが出来ません。森林は生命力にたけ、力強い一方でとても繊細なのです。つまり、大量伐採を行えば10倍以上の植林を行わなければいけません。自然のルールに従うために、本来の木材の価値に、植林や森林保全の為、時間と経済的努力を上乗せする必要があるのです。全世界で経済的なルールを根本から変えるには、今以上に国際的な取り決めが必要で、消費者である私たちの意識を変えていくことが重要です。


森林に関連する書籍(小学生向け)

地球規模で起こっている環境問題・森林問題をわかりやすく楽しく勉強できる本を紹介します。


「森と気の質問箱」小学生のための森林教室(社)日本林業協会

子供達の疑問に答える形で、樹木・森林についての知識、国土保全に果たす森林の働き、緑化運動、林業の役割、生態系に果たす森林の働き等々について、楽しいイラスト・写真とともに、やさしく面白さを解き明かしています。



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